NASのHDD温度が上がった理由|WD Red PlusからSeagate IronWolfに換えて気づいたこと

はじめに

自宅でSynology DS725+を使ってNASを運用しているのですが、あるときストレージマネージャーを開いてHDDの温度を確認すると、以前より明らかに数字が高くなっていることに気づきました。

「故障のサイン?それとも季節のせい?」と気になって調べてみると、原因はHDDを換装したことにありました。今回はその調査内容をまとめておきます。同じようにNASのHDD温度が気になっている方の参考になれば幸いです。

搭載HDDの変化

DS725+のHDDをこれまでのWD Red Plus 6TB×2台からSeagate IronWolf 12TB×2台に換装しました。容量を倍増させることと、SHR構成での安定運用が目的でした。

換装後しばらくして、ストレージマネージャーで確認するHDDの温度が以前より高くなっていること、また動作音も少し変わったことに気づきました。最初は故障を疑いましたが、調べていくとHDDのスペックの違いによるものだとわかりました。

温度が上がった理由①:消費電力との関係

まず大前提として、消費電力と発熱は物理的に不可分の関係にあります。電力はほぼすべて最終的に熱エネルギーに変換されるため、消費電力が多いHDDはそのまま発熱量が増えます。

両者の消費電力を比較すると次のようになります。

項目 WD Red Plus 6TB IronWolf 12TB
アイドル時 約 3.5 W 約 5.0 W
アクティブ時 約 4.5 W 約 7.8 W

アクティブ時の差は約3W以上。この差がそのまま余分な熱として筐体内に放出されています。DS725+のような2ベイの小型筐体では、この差が温度計上でしっかり現れます。

温度が上がった理由②:回転数とプラッタ枚数

消費電力の差が生まれる根本原因は回転数とプラッタ枚数にあります。

WD Red Plus 6TBは5,400RPMで動作しているのに対し、IronWolf 12TBは7,200RPMです。回転数が約33%高い分、モーターの駆動エネルギーと軸受の摩擦熱が増えます。これが発熱増加の最大の要因です。

「NAS用なら低回転の方がよいのでは?」という疑問について

もっともな疑問です。ただし12TBという大容量を実現するには8枚前後のプラッタが必要になります。プラッタ枚数が増えると記録密度が高くなり、回転数を5,400RPMに落とすと転送速度が130〜150 MB/s程度まで下がってしまいます。7,200RPMを維持することで210 MB/s前後の実用的な速度を確保しているわけです。WDも8TB以上では7,200RPMに切り替えており、大容量帯では業界全体の共通解になっています。

なおIronWolf 12TBはヘリウム充填を採用しています。ヘリウムは空気の約7分の1しか抵抗がないため、多プラッタ構成でも振動と発熱を一定程度抑える効果があります。7,200RPMでも「大容量・高速・そこそこの発熱」というバランスを成立させるための技術的な解決策です。ただしヘリウム充填で発熱が完全になくなるわけではなく、5,400RPM機と比較すると依然として発熱は多くなります。

動作音の変化について

換装後、以前より動作音(コロコロ音)が大きくなったと感じました。これも回転数とプラッタ枚数の違いが原因です。7,200RPMはベアリングや風切り音が5,400RPMより物理的に大きくなり、プラッタ・ヘッド枚数が多い分シーク音も重なって聞こえます。

ただし音の種類によって心配すべきかどうかが変わります。

音の特徴 主な原因 心配度
一定のコロコロ・ゴロゴロ(常時) 回転数・プラッタ枚数の違い ✅ 正常
アクセス時だけカリカリ・コツコツ ヘッドのシーク動作音 ✅ 正常
金属的なガリガリ・ギー ヘッド障害・プラッタ損傷の可能性 ⚠️ 要確認

常時一定のコロコロ音であれば正常の範囲です。金属的な異音や、突然音の質が変わった場合はS.M.A.R.T.を確認してください。

Synology DSMで確認できること

DSMのストレージマネージャーからHDDの温度とS.M.A.R.T.情報を確認できます。

温度・健全性の確認手順
ストレージマネージャー → HDD/SSD → 対象ドライブを選択 → 「健全性情報」タブ

S.M.A.R.T.で特に見ておきたい項目

項目名 意味
再割り当てセクタ数 不良セクタが代替処理された数。増加傾向は要注意
代替処理保留中のセクタ数 不良セクタ候補の数。0以外なら要確認
回復不可能セクタ数 読み書き不能な領域。1以上で即バックアップ確認を
ドライブ温度 現在の温度。55℃以上でDSMがアラート発報

IronWolfの温度目安と運用上の注意

IronWolf 12TBを2ベイNASで運用する場合の温度目安は以下の通りです。

状態 目安温度 対応
正常範囲 35〜45℃ 問題なし
注意ライン 45〜55℃ 設置環境・通気を確認
警告ライン 55℃以上 DSMがアラート発報。早急に対処を

DS725+のような2ベイ小型筐体は設置環境の影響を受けやすいです。側面・背面に数センチの余裕を設けるだけでも効果があります。またHyper Backupなど高負荷処理の実行中はドライブがアクティブ状態を長時間維持するため、通常より5〜8℃ほど温度が上昇することがあります。バックアップ後に一度温度を確認しておくと安心です。

まとめ

IronWolf 12TBに換装後に温度が上がったのは、故障ではなくHDDの仕様の違いによる正常な変化でした。

  • 消費電力の差(約3W以上)がそのまま発熱の差になる
  • 7,200RPMは大容量と速度を両立するための設計上の必然
  • ヘリウム充填で抑制はしているが低回転機より発熱は多い
  • 動作音の変化も回転数・プラッタ枚数の違いによる正常な範囲

温度が気になる場合は定期的にストレージマネージャーでS.M.A.R.T.を確認し、数値の変化に気づけるようにしておくのが一番の安心です。NASは常時稼働が前提なので、こうした小さな変化を見逃さない習慣が長期運用のコツだと感じています。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする