目次
- Windowsで見つかったのは「ファイル履歴」
- しかし、できることの範囲がかなり違う
- なぜWindowsの標準機能は限定的なのか
- それでもWindowsで大きな問題になりにくい理由
- まとめ:優劣ではなく設計思想の違い
自宅ではMac、会社ではWindowsを使っています。先日、会社のWindowsで少し前のファイルの状態をたどりたい事象が生じました。自宅のMacであればTime Machineをさかのぼれば済む話なので、同じようにWindows側でも履歴機能をONにしようと考えたのですが、そっくり同じ機能は見当たりません。近いものとして「ファイル履歴」という機能に行き着いたものの、実際に触ってみると、Time Machineとはずいぶん違うものでした。せっかくなので、両者の違いと、その背景にある事情を調べてみることにしました。
Windowsで見つかったのは「ファイル履歴」
Windowsで Time Machine に相当する機能を探すと、たどり着くのは「ファイル履歴」です。場所はコントロールパネルの「システムとセキュリティ」の中にあります。外付けドライブやネットワーク上の共有フォルダーを保存先に指定しておくと、対象のファイルが定期的にコピーされ、過去のバージョンに戻せるようになります。
「個人のファイルを世代管理して、うっかり上書きや削除から救う」という発想そのものは、Time Machine と共通しています。名前も分かりやすく、これがWindows版のTime Machineなのだろうと最初は思いました。
しかし、できることの範囲がかなり違う
対象はライブラリ内の個人ファイルだけ
ファイル履歴がバックアップするのは、ドキュメント・ピクチャ・ミュージック・ビデオ・デスクトップといったライブラリに含まれるフォルダーと、オフラインで利用可能なOneDriveファイルです。つまり個人ファイル専用で、OS本体・インストール済みのアプリ・各種設定は一切含まれません。
Time Machineは、個人ファイルに加えてシステムやアプリ、設定まで丸ごと世代管理します。だからこそ、ディスクが壊れても復旧モードや移行アシスタントから元の状態にまるごと戻せるわけです。ファイル履歴にはこの「丸ごと復元」という考え方自体がありません。ここが決定的な差です。
Windows 11では「設定」から姿を消した
もうひとつ気になったのが、機能の扱われ方です。Windows 10では「設定」アプリとコントロールパネルの両方からファイル履歴を構成できましたが、Windows 11では設定アプリ側から削除され、コントロールパネル経由でしか扱えなくなっています。
さらに、Windows 10にあった「フォルダーの追加」オプションもWindows 11では無くなりました。ライブラリの外にあるフォルダーを対象にしたい場合は、そのフォルダーをライブラリに含める必要があります。保存先も外付けドライブかネットワーク共有に限られ、内蔵ドライブは指定できません。機能追加が止まったまま置かれている、という印象を受けます。
なぜWindowsの標準機能は限定的なのか
バックアップソフト市場が先にあった
Windowsの世界では、無料版を含めてバックアップソフトの選択肢が昔から豊富にあります。「OS標準で足りなければ別のものを入れる」という文化が定着しており、標準機能が最低限でも大きな不便として表面化しにくい環境がありました。Macは Time Machine が十分に実用的だったため、そもそもこうした市場が育たなかった、という対照的な構図です。
MicrosoftはOneDriveを想定解にした
現在のMicrosoftの個人向けの方針は、デスクトップやドキュメントをOneDriveに同期し、上書きや削除はバージョン履歴とごみ箱で戻す、というものです。PC買い替え時の引き継ぎも「Windowsバックアップ」アプリがクラウド経由で担います。ローカルでの世代管理をOS側で強化する方向を、Microsoftはもう選んでいないと見てよさそうです。
ハードウェアの多様性という事情
Time Machineの丸ごと復元が成立するのは、Appleが自社で機種を絞っており、ハードウェア構成が均質だからでもあります。Windowsは無数のメーカーと構成が存在し、イメージを別のマシンに戻すとドライバー周りで問題が起きやすくなります。「丸ごと復元」の信頼性をOS標準で担保しにくい事情があり、結果としてWindowsでは「クリーンインストールしてデータだけ戻す」という進め方が根強く残っています。
それでもWindowsで大きな問題になりにくい理由
会社で使うような法人環境では、そもそも端末にデータを置かない設計が主流です。ファイルサーバーやクラウドにデータを集約し、端末は交換可能なものとして扱うため、端末側のバックアップ機能の弱さが問題になりません。
個人でも、NASや市販のバックアップソフトを使えば十分に埋められます。私の場合は自宅にSynologyのNASがあるので、そこに用意されているバックアップ機能を使えば、Windows機でもTime Machineに近い体制を組めることが分かりました。
逆に言えば、いちばん危ういのは「何も設定していない人」です。標準機能が控えめで、かつ自分で選ぶ前提になっている以上、放置すればバックアップは存在しないことになります。この点はMacとの大きな違いとして意識しておく必要があります。
まとめ:優劣ではなく設計思想の違い
ファイル履歴はTime Machineの代わりにはなりませんが、それは単純な機能の優劣というより、設計思想の違いによるものでした。Macは標準で完結させる、Windowsは自分で組み合わせる。この前提の差を理解しておくと、Windowsのバックアップ事情はずいぶん納得しやすくなります。
会社のWindowsについては、まず何がどこに保存されているかを確認したうえで、必要な仕組みを自分で用意するところから始めようと思います。
