家庭用3Dプリンタ、Bambu Lab A1を買いました──A1 miniと迷った末の結論

ここ数年、3Dプリンタが気になってはいたものの、なんとなく「マニアの機械」という印象があって手が出せずにいました。ところが調べてみると、状況はずいぶん変わっていたのです。

結論から書きますと、2026年7月にBambu Labの「A1」を購入しました。メーカー公式サイトの割引を使って、本体単品で43,000円でした。この記事では、メーカー選びからA1とA1 miniで迷った経緯、そして最終的にA1に決めた理由までをまとめました。

1. なぜ3Dプリンタを買おうと思ったのか

きっかけは、日々の「ちょっとした不便」でした。NAS周りのケーブルをまとめるクリップ、机の上の小物を整理するトレー、既製品では微妙にサイズが合わない収納パーツ。こういうものは、探せば似たものはあるけれど、本当にぴったりのものはなかなか見つかりません。

仕事柄、機械設計の図面を見る機会は多いのですが、自分の手元で「形にする」手段を持っていなかったのですね。3Dプリンタがあれば、その距離が一気に縮まります。そう思い立って、本格的に調べ始めました。

2. 家庭用3Dプリンタのメーカーを一通り調べてみました

まず驚いたのが、家庭用の主要メーカーがほぼ中国・台湾勢で占められていることでした。日本メーカーの選択肢は、家庭用の価格帯ではほとんど見当たりません。

主要メーカーの顔ぶれ

メーカー 特徴
Bambu Lab 2022年設立。元DJIのエンジニアが立ち上げた企業。高速・自動キャリブレーション・多色対応で急速にシェアを獲得
Creality 2014年設立の深圳メーカー。ラインナップが豊富で価格帯も幅広い
FLASHFORGE 2011年設立。密閉型が多く、日本語サポートが手厚い
ANYCUBIC FDM・光造形の両方を展開。コストパフォーマンス重視
Elegoo 2015年設立。フィラメント機とレジン機の両輪
Anker 日本での知名度とサポートの安心感。AnkerMakeシリーズ
Phrozen 台湾メーカー。光造形(レジン)で高精細な造形が得意

FDMと光造形、どちらを選ぶか

家庭用3Dプリンタには大きく2つの方式があります。フィラメント(樹脂の糸)を溶かして積み上げるFDM方式と、液体レジンに光を当てて硬化させる光造形方式です。

フィギュアやミニチュアのような精細さを求めるなら光造形。一方、実用的な部品や収納パーツ、治具といった「使うもの」を作るならFDM。私の目的は明らかに後者でしたので、この時点でFDM方式に絞り込みました。

3. Bambu Labを選んだ理由

調べれば調べるほど、FDM方式ではBambu Labの評価が突出していることがわかってきました。

従来の低価格帯の3Dプリンタは、ベッドレベリング(ノズルと造形台の隙間を均一に調整する作業)で挫折する人が多かったそうです。ところがBambu Labの機種は、Zオフセット調整、ベッドレベリング、共振補正、フィラメントの流量補正まで、印刷のたびに機械が自動で最適化してくれます。

あるレビュアーの方が「ギリ家電」と表現していたのが印象的でした。調整に習熟しなくても、開始ボタンを押せばその場を離れられる。この感覚は、他の低価格帯機種にはなかなかないものだそうです。

さらに、スライサーソフト「Bambu Studio」も本体のタッチパネルも日本語に対応しています。海外メーカーでこの点が整っているのは、地味ですが大きな安心材料でした。

4. A1とA1 miniで迷いました

Bambu Labに決めたあと、最後まで悩んだのがA1とA1 miniのどちらにするかです。この2機種、実は違いが驚くほど少なく、事実上「造形サイズ」と「ベッド温度」の2点に集約されます。

項目 A1 A1 mini
造形サイズ 256×256×256mm 180×180×180mm
造形体積 約16.78L 約5.83L
ベッド最高温度 100℃ 80℃
ホットエンド最高温度 300℃ 300℃(共通)
最高速度 500mm/s 500mm/s(共通)
Z軸 左右2本 右側1本
本体重量 8.3kg 約5kg

速度もノズル温度も、多色印刷ユニット「AMS lite」への対応も共通です。つまり体験の質はほぼ同じで、違うのは「どこまで大きく、どんな材料が使えるか」だけということになります。

5. A1に決めた3つの理由

理由1:分割せずに一体で出せる

Bambu Labが運営するモデル共有サイト「MakerWorld」で収納系のモデルを探すと、A1 miniのサイズでは収まらないものがちょくちょくあるそうです。分割して印刷し、あとで接着するという手はありますが、接合部の処理が面倒になります。

私はまだ「何を作るか」が完全には固まっていません。であれば「大は小を兼ねる」で、選択肢を狭めないほうがよいと考えました。

理由2:ベッド温度100℃が効いてくる

PLAという扱いやすい材料だけを使うなら、ベッド温度は60℃程度で足ります。ただ、もう少し丈夫なPETGという材料を安定して印刷するには80〜90℃が欲しくなるとされています。

A1 miniの上限80℃ではギリギリですが、A1の100℃なら余裕があります。実用パーツを作りたいという目的を考えると、ここは押さえておきたいところでした。

理由3:高速時の造形品質

A1 miniはZ軸が片側1本のみ(カンチレバー構造)のため、高速で動かすと振動が増幅されやすく、積層痕が目立つケースがあるという報告を見かけました。A1は左右2本のZ軸で支えているので、この点で有利です。せっかくの高速性能を活かせるほうがよいと判断しました。

6. メーカーサイトの割引で購入しました

そして最後の決め手が、価格でした。

Bambu Labの公式ストアは、セールの値引き幅がかなり大きいメーカーです。ちょうど割引が行われていたタイミングで、A1本体単品を43,000円で購入できました。通常価格から考えるとかなりお得な水準です。

7. 一緒に買ったもの、そして臭気の心配

フィラメントとドライボックス

本体と一緒に、PLAフィラメントのホワイトとブラックを2巻購入しました。まずは基本の単色から始めてみます。

加えてAmazonで、フィラメント乾燥ボックス(気密防湿・二重排出口・ボールベアリング付き)を購入しました。フィラメントは湿気を吸うと造形品質が落ちるとされていますので、最初から対策しておこうという判断です。

設置場所と臭気について

設置場所はPC部屋を予定していますが、少し心配なのが臭気です。

PLAはトウモロコシなどを原料とする樹脂で、ABSのような刺激的な臭いは出にくいとされています。ただし、まったく無臭というわけではなく、造形中に微粒子(超微粒子・UFP)が放出されるという研究報告もあるようです。長時間の運転になることも多いので、換気には気をつけたいと思っています。

A1はオープンフレーム構造(囲いのないタイプ)ですので、この点は密閉型の機種より不利です。実際に使ってみてどの程度気になるのか、レビュー記事で改めて報告するつもりです。

8. まとめ:これから作りたいもの

家庭用3Dプリンタの世界は、この数年で本当に様変わりしていました。数万円で、自動調整付きの高速機が手に入る。しかも日本語で使える。これなら、機械が好きな人にとっては十分に「試してみる価値がある道具」だと思います。

私がA1を選んだ理由をあらためて整理すると、次の3点です。

・256mm角なら、分割せず一体で出せる範囲が広い

・ベッド温度100℃で、PETGなど材料の選択肢が広がる

・公式ストアの割引で43,000円という価格

まずはNAS周りのケーブルクリップあたりから作ってみようと思っています。次回は開封と初回プリントの様子をお届けする予定です。

3Dプリンタ、ようやくスタートラインに立ちました。