自作シリカゲル容器の改良、スロット幅を半分にして容量を倍にした

前回、フィラメント防湿庫に入れるシリカゲル容器を3Dプリンタで自作しました。ところが実際に運用してみると、設計時には想定していなかった問題が出てきました。

今回はその対処として、容器を作り直した経緯をまとめます。

公開した容器で実際に運用を始めた

作ったのは、外形100 × 100 × 高さ18mmの平たいトレイです。内容積は約138mL、シリカゲルにして約95gが入ります。

フィラメント防湿庫のシリカゲル容器を3Dプリンタで自作

蓋も底面も側壁も、幅3mmのスロットで通気を確保する設計でした。入れるシリカゲルはMonotaRO製の6UP(粒径4〜8mm)なので、3mmの隙間からこぼれることはない。そう考えていました。

割れたビーズがスロットから落ちてくる

ところが実際にシリカゲルを詰めてみると、かなりの量が落ちてきました。防湿庫の棚に青い粒が散らばり、とても実用に耐える状態ではありません。

落ちてきた粒を見ると、丸い粒のまま抜けたのではなく、割れて角が取れた破片が大半でした。

粒径表記どおりの粒だけではなかった

粒径4〜8mmという表記は、あくまで製造時の規格です。輸送や保管の間に粒どうしがぶつかれば角は欠けますし、容器に注ぎ込むときにも割れます。

また、ふるい分けの精度にも幅があります。規格の下限を下回る小粒が一定の割合で混ざっているのは、工業製品として当然のことでした。

設計のときに「4〜8mmだから3mmなら大丈夫」と考えたのは、表記を額面どおりに受け取りすぎていました。実物の状態を見てから寸法を決めるべきだったと思います。

スロット幅を半分の1.5mmにする

対処として、スロット幅を3.0mmから1.5mmに変更しました。

これ以上細かくすることもできますが、1.0mmを下回るとスロットが粉で詰まりやすくなり、通気が落ちます。1.5mmが実用上のバランスだと判断しました。

なお1.5mmでも、粉状に砕けた分は通り抜けます。充填前に一度ふるいにかけるか、細かい破片を取り除いておくのが確実です。

開口率を落とさずに細かくする方法

単純にスロットを細くすると、開口率が半分になって通気が悪くなります。そこで、スロットの間のリブも同時に詰めました。

従来はスロット3.0mm+リブ5.0mmで、ピッチ8.0mm。これをスロット1.5mm+リブ2.5mmのピッチ4.0mmに変えています。比率が同じなので、列数は10列から21列に倍増しますが、開口率は24%から25%とほぼ変わりません。

側壁も同様に、高さ3mmのスロット2段から、高さ1.5mmのスロット4段に変更しました。

再生の頻度を減らすため長さを倍にした

作り直すにあたり、容量も見直しました。100mm角では約95gしか入らず、再生の周期が短くなることが気になっていたためです。

厚みを増やす案もありましたが、長さを伸ばすほうが有利だと判断しました。厚みを倍にしても、空気が出入りする蓋と底面の開口はそのままです。中身だけ増えて入口が変わらないのでは、吸湿の速さが落ちます。

長さを倍にすれば、開口面積も中身も同時に倍になります。粒の層の厚さは15mmのままなので、どの粒も表面の近くにあるという条件も保てます。

外形は200 × 100 × 高さ16mm、内容積は約281mLになりました。シリカゲルにして約195gです。

ヒンジ3個・ラッチ2個に増やした理由

長辺が200mmになると、ヒンジ2個では蓋の両端が支えられません。中央に1個足して3個にしました。

ラッチも1個では中央付近が浮くので、2個に増やして中心間100mmの位置に配置しています。3個にする案も考えましたが、開けるときに両手の親指で押す操作を考えると、2個が扱いやすい数です。

あわせて、蓋の裏面に補強リブを2本入れました。200 × 100mmで厚さ2mmの板は印刷中に反りやすいためです。高さ2mm × 幅1.5mmと細いので、内容積はほとんど減りません。

ラッチの寸法は前回と同じで、掛かり量0.7mm、腕を内側へ0.25mm傾け、導入部に45度のテーパーを付けています。この組み合わせは実機で確認できているので、変える理由がありませんでした。

実際に使って確認できたこと

印刷してシリカゲルを入れたところ、割れた粒も落ちてこなくなりました。防湿庫の棚に青い粒が散らばることもありません。

ラッチ2個の操作も問題ありませんでした。両手の親指で外向きに押しながら持ち上げれば、素直に開きます。

印刷時の注意としては、蓋にサポートが必要です。ヒンジのピンが横向きの円筒なので、支えがないと下面が垂れます。本体はサポート不要です。

材質はPLAでも構いません。防湿庫に入れるだけなら耐熱は不要で、再生も容器から出して行うためです。ラッチの腕は繰り返し曲がるので、耐久性を重視するならPETGが有利になります。

MakerWorldの公開版をどう扱うか

100mm版はすでにMakerWorldで公開していたため、この扱いも考える必要がありました。

削除して新しいものを上げ直す方法もありますが、URLが変わってしまいます。また、すでに印刷した方の手元には旧版が残るので、問題があることを記録として残しておくほうが親切だと考えました。

そこで旧版は公開したまま、説明文に「スロット幅3mmでは保持できない」旨と改良版へのリンクを追記し、200mm版は別のモデルとして新規に投稿しました。

公開しているデータに誤りが見つかったときは、消すより直して残すほうがよいというのが、今回の判断です。

公開したモデルは次のとおりです。

Silica Gel Tray for Filament Dry Box, 281 mL(改良版・MakerWorld)

Silica Gel Tray for Filament Dry Box, 138 mL(旧100mm版・記録として公開)

しばらく運用してみて、再生の周期がどの程度に落ち着くのか確かめたいと思います。結果が出たら、改めてレポートします。